2013年11月7日木曜日

花伽藍 : 中山可穂

花伽藍 (角川文庫)

女性の同性愛をさまざまな形で描いた短編集。


登場人物の年齢は中年以上なので、いわゆる百合好きとしてはなかなか手を出しにくいものでしたが、素晴らしかったです。読んで良かったと心から思います。

この短編集は悲恋ものの割合が多くて、ちょっと後味の悪い話もありました。正直言って、そういう話よりもハッピーエンドの方が好きですね。

そんな中で良かったのは「花伽藍」。本のタイトルにもなってます。
中盤までは鬱々とした展開が続きますが、あるところから急に明るくなったような感じがします。
そこからはラストに向けてどんどん希望が溢れていくような、読後感のすごく爽やかな話でした。


そして大トリの「燦雨」です。人との関わりを断って2人で暮らすおばあちゃんの話。
これは、とても涙を流さずに読めるような話ではないので、外で読んではいけません。
こんな最期を迎えられたら、どんなに幸せだろう…、そう思います。

ちなみに自分は電車の中で読んでしまいました。
このまま読み続けたら絶対泣く!というところで休憩をはさみつつ…。涙を堪えるのに必死でした。
素直に家で読めばよかったですね。

ちょっと生々しい表現もあるので、「百合が好き」という人には薦めにくい本ですが、「燦雨」は読むべき一編だと思います。

百合度:★★★★
総評 :☆☆☆☆

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