2014年4月12日土曜日

鹿乃江さんの左手: 青谷真未 [★★★★/☆☆☆☆]

鹿乃江さんの左手 (ポプラ文庫 日本文学)

とある女子校に伝えられる「願いを叶えてくれる魔女」の噂にまつわる3編が収録された短編集。
すべて主人公の一人称視点で描かれており、感情の機微がわかりやすいです。

1本目は導入という感じ。同性への憧れに不思議な出来事を絡めたあっさりとした話。
2本目がなかなか。主人公は、序盤では全てを諦めているような乾いた感情で描かれていますが、次第に過去の挫折や才能への嫉妬が色濃く出てきます。そして終盤で明かされる事実にストーリーを照らしあわせてみると、これはもう涙なしには読めないですね…。痛くて熱い話でした。
締めの3本目はガチ百合。無愛想な生徒から告白されてあたふたする保険の先生の話です。
魔女の噂も本格的に絡んできて、読み応えがあります。

どの話もさわやかに締められており、それでいて少し不思議な感覚が残ります。
読み終えた後味は良く、記憶に残る1冊でした。

百合度:★★★★
総評 :☆☆☆☆

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