2014年4月20日日曜日

終点のあの子 :柚木 麻子 [★★/☆☆☆☆]

終点のあの子 (文春文庫)

憧れと嫉妬と嫌悪感に振り回される女の子の青春を描いた短編集。
短編の主人公に繋がりのある連作。


最初の一編「フォーゲットミー、ノットブルー」がとにかく凄くて、寝る前に短編を一つ読むつもりが気がついたら1冊読み終わって朝になっている始末…。

「フォーゲットミー」は平凡な主人公が変わり者の女の子に惹かれ、仲の良い友達になるのですが、それが一転していじめの首謀者となるという、物凄く濃い短編でした。
始めは友達になりたいという純粋な好奇心と好意だけだったのに、ある境目からドス黒い感情が際限なく広がっていく不気味さにはゾワゾワしつつも目が離せませんでした。

ほかの短編も心に突き刺さる痛い展開が多いのですが、個人的に一番ぐさっと刺さったのは「ふたりでいるのに無言で読書」です。クラスで目立つグループ一番の美人と、オタクでブスの子が夏休みの図書館で偶然出会って仲良くなるという話なんですが、ラストが…。

同性恋愛の話はありませんが、4編とも友情を描いた良い話なので、鬱屈した心理描写が好きな方にはオススメしたい一冊です。

百合度:★★
総評 :☆☆☆☆

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