2014年4月30日水曜日

雨の塔 :宮木あや子 [★★★/☆☆☆]

雨の塔 (集英社文庫)

世間から隔絶された女子大の、とある寮に暮らす4人の交流を描いた長編。

女子寮の共同生活というと、心あたたまる話だとか甘いイチャラブを期待しがちですが、そういうのはほぼ無いです。
自分の人生を自分で決めることも許されないお嬢様が集まっているので、何気ない日常生活の中にも悲壮感が漂っています。結構つらい。

百合小説としてはかなりガチな方だと思います。
4人とも心に暗い気持ちを抱えており、寂しさを埋めるためにそれぞれの相手を求めるという、プラトニックな関係を築く展開がメインなので「百合」って感じがします。
パートごとに4人の一人称で物語が語られるのも互いの関係が把握できて面白いです。

ただ、その関係が尽く上手くいかないので、つらいです。
後半には唐突にハードな出来事もあり、読後感はジメジメした気分になります。

物語の登場人物は4人しか出てこないのが徹底しているというか、なんとも不思議な読み心地でした。

百合度:★★★
総評 :☆☆☆

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